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眠れなかった。眠れるわけがなかった。
布団がないからという理由で、同じベットで先輩と眠ることになった俺。
というか、寝巻を持ってくるのを忘れた俺はどうしようかと独り途方にくれていたら、先輩の寝巻をかしてもらえたりして…いや、俺は家に荷物を取りに帰るって言ったんだけど「夜は危ない」とか言って、乱暴に、先輩の寝巻を渡されて、反抗もできずに着用した俺。そもそも、そもそも、あーもういい。眠たい。でも心臓バクバクして眠れん。
心臓爆発したら、どうしよう。
いや、爆発しても大丈夫だ。俺独り死んでしまうだけで、きっと先輩には被害は及ばない。ああ、よかった。そう思った時くらいかな、俺は意識を失った。
気がつけば雀がチュンチュン鳴いていた。
「なんだ、夢か」
目を覚ますと俺は少しがっかりした。先輩の家に住み着くなんてひどい夢を見たものだ。俺はいつも通りベットから降りようとしたら、おかしいな、いつも足がつくところにつかなかった。なんか、俺のベット大きいぞ?
「夢って何の夢を見たんだ?」
……あれ?
「先輩?」
俺は先輩の声に振り向いた。そこには優しくほほ笑んでいる先輩がいた。
あれれ?
「寝ぼけてんのか?」
「いえ、ちっとも、寝ぼけてなんて」
寝ぼけているところを見られたのが恥ずかしくて、俺は必死に言い訳をした。
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