「なんで、俺…」

特に親しいわけでもないのに、俺に相談してくるのだとうと、少し勘繰った。
でも、日下部は純粋な目をして、苦笑いした。

「だから、言っただろ。俺の周りの先輩好きは、みんな、どうしようもないんだ。困った奴ばっか。これを機会に、お近づきになれないかと考えだしたりしてさ。だから、お前みたいに、傍観している奴に、聞いてみようかと思って。じゃなくて、ほら、一緒に考えて欲しんだ。先輩、本当に最近様子がおかしいんだ」

「そ、そうかな…。俺には、そんなに変わり映えしないように見える」

「……俺の、杞憂か?」

そうか、と日下部は三回頷いて、俺を見つめて、ニカッと笑った。

「なんだ、思い過ごしか。だよな。いや、参った。心配しすぎか」

「そうだと思うよ」

本当に日下部は、総司さんのことが好きなんだな、と俺は感じた。
他のファンクラブの人とは違って、純粋に総司さんの心配をしていたんだ。
俺じゃなくて、日下部が、総司さんの弟だったら、よかったのに。

「でも、俺も、先輩が心配だから、少し考えてみる。で、何かわかったら、日下部に連絡する」

「加賀美、ありがとう。俺、お前のこと、少しねたんだりしてて、悪かったよ」

仲直り、と、言って、日下部は俺に右手を差し出した。俺は迷いながら彼の手を握った。喧嘩した覚えはないけども、仲直りできたなら、よかったと。




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