加賀美ヒロ




=加賀美ヒロside=


総司さんが好き。
そう自覚した日からも、何も変わらない日々を送っている。
これでいいんだと思う。
今のこの状況は俺なんかにはもったいないほど幸せだ。
毎朝一緒にご飯を食べて、毎晩同じベッドで眠る。
優しく笑いかけてくれる。大切にしてくれる。
家族だって彼は思ってくれている。
なのに、俺は、最低だ。

さっき、噂話で聞いたことなんだけども、総司さんと香山生徒会長の仲がちょっと怪しいとか…。
みんなはただのネタだとか笑っているけども、俺は笑えない。

だって、総司さんは、俺が生徒会長と関わるのを心よく思っていない。
それはもしかしたら、生徒会長のことを思っている裏返しなのかもしれない。
生徒会長だって俺によく構ってくるのは、総司さんの気を引きたいからなのかもしれない。
なんだか、そんな気がしてきた。

もちろん、心の何処かで、そんなはずはない、と反論している俺もいる。
だけど、一度、動き出してしまった思考はどうも変な方向へ加速していくばかりだった。

「…………」

でも、おかしい。
俺、たとえ、噂が本当だったとしても、嘘だったとしても、総司さんに対して何かを思うなんて、おかしい。
俺は俺。
総司さんは総司さん。
だから、たとえ何があったって、俺がこんなにも感情を動かすのは間違いだ。
だってそれって総司さんの生き方にケチをつけているってことになるから。




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