第3.5話




=水城総司side=


自分の好きが、恋愛感情だと
わかっていた。
でも、君が俺にそんなものを
求めていないことも
わかっていた。

卑怯で憶病な俺は
君を失うことが
嫌で
気持ちに蓋をする。

溢れそうなのに、
押さえつけて、ないがしろにして。
全てなかったことのように消し去って。
何度も何度も。
まるで消えない汚れを消そうとするように、
必死になって、やっきになって、

忘れてしまった。

忘れてしまったのは、
君を想う気持ちではなく、
とても日常的なことだった。

「水城が提出物を忘れるなんて、らしくないな」

「わからないか、この問題…水城にもわからないとは…」

本当に、らしくない。
俺、何をしているんだろう。
俺は何だって
そつなくこなせていたのに。




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