香山やすし




=香山やすしside=


ナンパされたなんて嘘だった。
ヒロの気を引きたかっただけだった。

でも、ヒロは俺よりも俺が誰と来たかのほうに注目していた。
面白くないと思った。
が、水城がそんなヒロの態度の真意もわからずに、怒るから、面白くなってかき乱してやろうとした。
たぶん、かき乱すことは出来たが、結果的には失敗だったわけだ。

ヒロと水城が、喧嘩分かれしたところで俺の出番だと思っていたのだが、それはなかった。

「話聞いてる?」

「聞いてないけど」

俺は水城のファンクラブの会長をしている物好きに本当のことを言った。
すると彼は「香山先輩しかいないのに」と可愛い顔をしかめて言う。
作り笑い失敗しているぞ、お前。

「そもそも不毛だ。新。どうして今回は遊園地などに来たんだよ」

「だって、水城先輩誘えなかったんですよ。でも、チケット使わないともったいないじゃないですか?」

「ファンクラブの話の合う奴と一緒にいけばいいだろ」

「え、いやだ。香山先輩。俺は、香山先輩と行きたかったの…」

「嘘つけ、お前、水城を誘いたかったんだろ」

「ま、それはそうだけど」




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