自分でもわかっていた。
変な気ばかり使っていることも。
嫌われないようにしようとしていることも。
すぐにどもってしまうことも。
みんなわかっていた。
わかっていても治らない。
幸せと同時に怖くてしかたない。
いつか失うんじゃないかって。

「俺、普通にしようとしているのに、できなくて」

同じことばかり繰り返して、
総司さんを困らせている。
困らせている…けど、
あれ?

「…………」

瞬きを繰り返し、総司さんを見上げる。
総司さんは優しい顔をして、俺の猫耳に触れた。

『困らせてくれていいんだよ』

そんな言葉が聞こえた気がした。
俺、なんて図々しんだ、とか。
とんだ解釈違いだ、とか。
思えなかった。


泣きそうになった。




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