加賀美ヒロ
=加賀美ヒロside=
突然、総司さんから聞かれた言葉に俺は、固まったしまった。
「えと…」
嘘はつきたくない。でも、好きです、なんて言えない。
言ったら、きっと、幻滅される。
どうしよう、どうしよう。
回らない頭で考える。
「ごめん」
すると総司さんは何でもないのだと言った。
「ごめんな、そんなにも時間たってないのに、そんなこと言われても困るよな」
悪かった、と総司さんは言う。
俺はなんて言えばいいのかまだわからなかった。
ただ、言えることは…
「……あ、の。まだお兄さんだって、実感はないけど、俺にとって総司さんは、特別な人です」
「じゃあ、俺がヒロに気を使って、したいことできないようになっていたら、ヒロは、どう思ってくれる?」
「嫌です、そんなの!」
「だよね」
総司さんはそう言うとそっと俺の耳元で囁いた。
「俺だって同じ気持ちだよ?」
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