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「ヒロ?」
「え、あ、すみません」
俺が名前を呼ぶと、びくっと跳ね上がってすぐにこっちに来る。
まるでそれが、飼い主と猫みたいで…
「ヒロ、あれ、もう見なくていいの?」
「え、あ、大丈夫です。おもしろくて、ちょっと見てただけで」
そう言って、名残り惜しそうに、ヒロはポップコーンを作っている機械を見つめる。
「見たいなら、見てていいよ」
「そ、そん、な、せっかく遊園地に来たのに…」
「俺は、ヒロに気を使わせるために来たんじゃないよ。好きにしてくれていいんだよ?」
「…………じゃあ、少しだけ」
「ああ、俺も一緒に見ようっと」
考えた。
ヒロと同じものを見ながら、考えた。
どうすれば、俺は、ヒロと対等になれるのだろう。
いつまでヒロとの間に見えない壁を感じればいいのだろう。
「ヒロは俺のこと、ただのお兄さんだって思ってくれてる?」
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