水城総司
=水城総司side=
ヒロが俺に触られるのを初めて拒否した。
理由が照れちゃってとかいう、可愛いことを言う。
馬鹿な俺はかなりその台詞に期待したが、やっぱり俺の思い過ごしのようだった。
「とりあえず、カチューシャ買おうっか」
「え、俺、カチューシャなんて!」
売店を指差して言えば、ヒロはあたふたと首を振った。
だが、俺はそれを許してあげる気持ちになれず、ヒロの肩を強引に掴むと売店に連行し、遊園地のマスコットキャラクターの猫耳カチューシャをヒロの頭につけた。ちなみに俺は、そのマスコットのお友達のパンダの帽子にした。
「総司さん…」
と、戸惑ったように、歩きながら、売店を出た俺の後にヒロがついてくる。
大方、もったいないとか、こんなもの買ってもらって悪いとか、言うんだろうと思った俺は、先手を打つことにした。
「遊園地だし、特別な日だし、これくらいは、はしゃぎたかったんだ。嫌だったかな?」
「…え、いえ、そんな、嫌だとか、そんなのじゃなくて」
「なら、よかった」
ニコッと笑うと俺は次にポップコーンを買った。
バケツのような容器に入っていて、ふたも付いているし、肩から下げるヒモもあるので、持ち運びに便利だ。これならいつでも食べたい時に食べれるとヒロに言おうとしたら、ヒロは、ポップコーンを作っている機械の中に夢中だった。
もしかして、見たことないのだろうか?
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