「総司さん、すみません、変な言い回しして」

いい歳をした男子が言う台詞じゃなかった。
また総司さんに不快な思いをさせてしまったかもしれない。
俺はおどおどと総司さんの背中を見つめていた。
総司さんがそっぽを向いてしまったんだ。

でも、ひとしきり何かに耐えるように震えていた総司さんは

「俺の勘違いだよな」

と言った。
俺は避けてしまったことを言っているんだと思って、

「そうですよ」

と答えた。
すると総司さんは

「だよな」

と言って、俺は

「そんなわけないじゃないですか」

と言った。

あるわけがない。

俺が総司さんのことを嫌うなんて。

そんなの、あるわけがない。




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