遊園地の中に入ってからも俺はドキドキしていた。
今までもドキドキしていたけど、このドキドキはなんだか違うドキドキのような気がした。
憧れているからだとか、総司さんが別世界の住民のように綺麗だからってそういう意味じゃなくて…
もっと失礼なドキドキ。

「ヒロ? 大丈夫、顔が赤いけど」

「だ、大丈夫じゃない…じゃなくて、大丈夫です」

とんでもないことに、俺は、総司さんのことを好きになったみたいで。
恐れ多い。本当に恐れ多い。俺はなんて身の程知らずな恋を…

「大丈夫じゃなさそうだ…」

そう言って総司さんは俺のおでこめがけて右手を差し出した。

「大丈夫です」

俺はそう言って避けてしまった。すると総司さんは寂しそうに頷くと、何もなかったように「そうか」と言った。
悪いことをしたなって、思った。
俺の身勝手な思いで、総司さんに不快な気持ちを与えてしまった。
誤解を解かないと…

「違うんです、ちょっと照れちゃって…え、わ!」

嫌だったわけじゃないと伝えようとして、赤面な台詞を言ってしまう。
俺、の、馬鹿!

ほら、総司さんだって、困ったように固まっているじゃないか。




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