生まれてきてごめんなさい。
と、今までたくさん口にしてきた。
母さんは俺を生まなければ、幸せになれていたんだって。
俺がみんな邪魔をするんだってさ。
俺がいるから母さんは辛い思いばかりしていたんだって。

「……ヒロ?」

「俺、が、いたら、総司さんは、不幸になりますか?」

「そ、それはないから!」

「じゃあ、どうして怒っているんですか?」

「…………」

「言ってくれていいですよ、俺なんか、いない方がいいって」

優しくされると誤解してしまう。
甘やかされると図に乗ってしまう。

「俺、そういうの、慣れているし」

「…ヒロ!」

「え!」

視界が真っ黒になった。
突然、何が起こったのだろうと慌てたけども、すぐにわかった。
痛いほど強く、抱きしめられていた。
「ごめんな」と言いながら。
総司さんに抱きしめられていた。




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