「出来の悪い携帯小説のようだ」

彼はそう言うと、俺をリビングに通して夜ごはんを食べさせてくれた。こんな状況なのに普通に美味しいと感じた。

「あの…突然すみません」

俺は彼に謝った。彼もあの女に無理をさせられているように見えたからだ。

「本当にありえないだろ。お前はこれでいいと思ってんのかよ」

「……しかたないと思ってます」

「馬鹿じゃね!」

彼はそう言って顔を歪めて姿を消した。
俺はどうしていいのかわからなくなって、固まった。
すると、彼はリビングに戻ってきて、早口にこう言った。

「部屋は一つしかないから、俺と一緒な。で、風呂はソッチ、トイレもソッチ。台所とリビングはココ。後、学校では俺のこと話すなよ!」

「はい…」

勢いのいい言葉に俺は呆気にとられた。
いや、違う。本当は、目の前で怒っている人が、俺の憧れの先輩だってことが確定したんだ。だって、どんなに違う人のように見えても、やっぱり先輩だったんだ。

俺の憧れはこの日、揺らぎました。
俺は…




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