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俺が知っている総司さんのことなんてほとんどない。
だから、あんなにも怒る総司さんのことが気になった。
でも、俺なんかがそんなことを詮索するなんて、しちゃいけなかったんだ。
調子にのっていた。
総司さんが優しいからって、俺、好かれているような気になって。
俺なら、聞いても教えてくれるんじゃないだろうかって。
自惚れていた。
「いえ、そんな、気にしてませんよ。俺の方こそ、ちゃんと総司さんに言われていた通り、生徒会長と関わらないようにしたらよかったのに、すみません」
明るく言おうとする。平気そうな顔を作って。
たったの四日ぶりのことなのに、それが難しい。
総司さんの家に来るまでは出来ていたのに…
俺、もう、そんなこともできない駄目な奴になってしまったんだ。
「ごめん、ヒロ」
「え、どうしてですか? 悪いのは俺です」
「ヒロは悪くない!」
「え?」
俺は悪くない…悪くない…?
「だったら、誰が悪いんですか?」
母さんは言っていた。
何かあれば、俺がいるせいだって。
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