「俺、ヒロに会えて幸せなんだ」

「総司さん?」

おかしなことを聞かされたみたいな顔をしてヒロは瞬きをした。

「本当に昔、昔なんだけど、ヒロに俺、掛け替えのないものをもらったんだ」

「……え?」

「覚えていないか…やっぱり」

小さかったヒロを思いだす。
あの日の面影をたくさん残している君を抱きしめる。

「すみません」

「謝らないでいいって言った」

「でも」

「でも、も、禁止」

「え、と」

じゃあ、なんて言えばいいのだろうとでも言いたげに、ヒロは俺の腕のなかで言葉に詰まっていた。

「とりあえず、俺、ヒロを幸せにしてやりたい」

ずっと一緒にいたいとは言えなかった。
だけど、これが、今の、俺の、精一杯。




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