その日は、もう本当にテンパって酷い言い方をたくさんしてしまった気がする。

『…………え』

やっと俺のベッドで寝ついたヒロに布団をかけようとして、気がついた。
久しぶりに会ったヒロは何一つ変わっていないかのように見えていた。
だけど、こうして薄暗い部屋で意識がない姿を見ると、胸が張り裂けそうな気分になった。

『………』

俺と離れ離れになってから、君にどれほど大変なことが降り注ぎ、君にどれほど傷を残したのだろう。
俺の知っているヒロじゃなくなっているようにさえ見える。
いや、きっと、俺のすぐ横で寝ているこの子は俺の知っているヒロじゃない。

冷静になって、ようやくこの状況が飲み込めてきた時、俺は確信した。
やっぱり俺の家に訪れた時も、その後も、今も、ヒロは、どこか自尊心が感じられなかった。

まるで、ヒロに出会う前の俺だ。

『ヒロ…』

寝顔に話しかける。小さな声で『ごめんなさい』と返事が返ってきた。
その日、俺はそっとヒロを抱きしめて眠った。

朝、目が覚める頃には、俺は、決めていた。
かつて、ヒロが俺にしてくれたように、
俺もヒロに温かいものをあげられたらいいのにって。

だから…




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