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信じていたのに、コレかよ、と突っ込みをいれたくなったのは、ヒロが夜遅くに俺の家を訪ねてきた時だった。
近頃『家の子どもを預かってもらおうと思っているの』なんて軽々しく俺にいった女のことは覚えていた。でも、それがいつだとか聞いていなかった。
『あ、あの…』
インターホンが鳴ったからドアを開けた。
するとそこには、メモを片手に震えているヒロの姿があった。
あの女! と俺は頭に血が上った。
『……チッ! 聞いてねぇーし』
俺は乱暴に家の中に戻り、あの女に電話をかけた。
聞いていない。今日、くるだなんて。それに、俺に預ける許可なんてしていないし、お前、親だったらもっと責任もってやれよとか、なんだとか。
いろんな感情がごちゃごちゃになって…
でも、俺は自分自身に言い聞かせる。
俺がヒロを家に住まわせてやらないと、他に行くところはないんだ。
あったとしても酷い目にあわされるだけだ、あんな女のいる家なんて。
『よし』
決意を決めて、ヒロを受け入れよう。
俺は駆け足で玄関に戻ると、
『わり、入ってくれ話しは今聞いたから』
と、ヒロを家に招き入れた。
ド緊張していた。
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