水城総司
=水城総司side=
我慢できなかった。
君を見ていると何でもかんでもしてあげたくなる。
優しくして、甘やかして、笑わせてやりたいと思う。
我儘言って、駄々をこねて、俺を困らせてくれたらいいのにって。
全部、俺が勝手にそう思って、してきたこと。
お礼なんていらなかった。
謝罪の言葉もいらなかった。
ただ、君が、俺の、そばに居てくれて、
俺に、君のことを考えさせてくれたら、
それで、よかった。
だけど、ありがとうって、君に言われた時、嬉しくて、しかたなかった。
俺のしてきたことは押し付けがましいだけじゃなかったのだろうって。
ちゃんと君のためになってくれていたのだろうって。
「ヒロ。でも、じゃない」
自信なさげにヒロは困ったような顔をして俺を見る。
ヒロは、今までが今までだったんだ。
あんな女と一緒に過ごしてきたんだ。
「さっきも言ったけど、ここでは怯えることなんてないんだよ」
「……」
「全部、受けとめてあげるから」
「どうして…そんなこと…」
「うーん、どうしてなんだろうね?」
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