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「はじめて、俺に、ありがとうって」

「はい…」

キラキラとした瞳で俺の隣に来ると、総司さんは俺の手を握った。
そしてギュッと握る。

「俺の方こそ、ありがとう」

「え?」

俺何か総司さんにしたっけ? と考えていたら、

「ヒロに、ありがとうって言ってもらえて嬉しい」

と、言う。

「え、あ…」

ありがとうって。
俺は一回として伝えていなかった。
伝えられないままだったんだ。
総司さんの優しさを嬉しいと思う度、素直にそれを受けとめることができなかった。

憶病な、俺。

「あの、今まで、お礼を言えなくて…」

「いいんだよ、今言ってくれただろ」

「で、でも」




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