「ヒロ…」

「え?」

真剣な顔をされて名前を呼ばれて俺は畏まった。
しかし、先輩は「ううん」と首を振って、ご飯の用意をするから、と台所に行ってしまった。
俺はとりあえず荷物を置くために部屋へと向かった。

部屋へと、むか…

「ヒロ、その、待ってくれ!」

「え?」

「ちょっとここで待っててくれ!」

おたまを手にしたまま先輩は必死になって走ってくる。
何をそんなに焦っているのだろうか。
あ……部屋に、俺に見られたくないものが置いてあるとか?
いや先輩に限ってそんなことはないと思う。というか、信じている。

「わかりました」

待っていますよ、と約束をして、俺は部屋の前で待っていた。
先輩はガタガタと音を立てながら、なにかを動かしているみたいだった。

「ヒロ、ごめん。入っていいよ」

そう言って俺と入れ違いに部屋から出て行った先輩…じゃないや、総司さんの背中を見つめながら俺はベットの下に手を入れてみた。疑っていない、信じているからだ。




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