「すみません、苦しいです」

抱きしめられて、苦しいなんて、嘘だった。でもそう言えば生徒会長さんは俺のことを離してくれるんじゃないかって、思った。

「あ、ごめん」

案の定、生徒会長は俺から離れると本当に申し訳なさそうに笑った。
その笑顔が、何処かで見たことのあるもののようで…

「……あれ?」

俺は考えた。でもわからなかった。

「俺、何処かで」

「会ったりしてないよ」

全てを聞き終わる前に生徒会長はそう答えた。
俺はそうかと納得したが、生徒会長の切なそうな顔に、ほんの些細な疑問が

「どうして聞きたいこと…わかったのですか?」

「……ヒロのことが好きだから」

冗談めかして生徒会長は笑う。俺はそれにつられて笑う。
そうこうしているうちに、図書室は閉館を迎えてしまった。

結局、生徒会長は何をしに来てたんだろう。
俺は遊園地の頼りない知識の片隅で、彼の行動の意味を考えた。

まぁ、わからないことは、わかりきっているが。




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