というのが、俺と先輩が明日遊園地に行くことになった大体のあらまわしだ。
だが、今さら、俺は困っていた。
遊園地だなんて、遠足で行ったことはあるが、遊んだことなんてない。
どうやって遊ぶんだろう。全くわからない。
学園の図書館で遊園地について調べてみる。少しでも、先輩に失礼のないように。礼儀正しい遊園地を、俺はここで学んでみせる。
ああ、ガリ勉の血が騒いでいる。

「……ヒロ」

「え?」

遠慮がちに名前を呼ばれた気がして振り返る。そこには誰もいない。なんだ、気のせいか、と思ってまた遊園地の資料に目を落とすと「ヒロ」と声がした。

「遊園地、好きなのか?」

「いえ、特に」

話しかけられたから反射的に答えた。
が、そこにいたのは生徒会長だった。

「……あの」

「いい、何も、変に気をつかわないでくれ」

「?」

俺が先輩と他人じゃないことを隠しておいて欲しいと言おうとしたら、大丈夫だ、わかっている、と言ったような顔で生徒会長は俺の言葉を遮った。そして、どうしてか俺の隣の椅子に座ると俺が積むだけ積んだ本を退屈そうに読み始める。遊園地が好きなのだろうか?




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