=加賀美ヒロside=


こんな俺に、笑いかけてくれた人。
こんな俺に、優しくしてくれた人。

俺は、戸惑う。

でも、嬉しくて、しかたなかった。

だけど、素直に、なるのが、怖かった。

信じて、裏切られる、のが、嫌だった。

だから、と、俺は、自分が、傷つかないように、壁を作る。

馬鹿だな、そんな、繰り返し。


いつしか、自分自身が、作った壁の、厚さと、高さに
落胆する、というのに。


憶病な、俺は、ただ繰り返す。
未来が、どうこうではなく、今しか見えなくて。

繰り返し、
繰り返し、


簡単に失望し、
簡単に忘れる。


思いやりって難しい。




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