加賀美ヒロ
=加賀美ヒロside=
生徒会長さんが俺のこと好きだと言ってくれた。
誰かに好きだなんて言われたのは初めてで嬉しかった。
手にキスされたのは初めてでどうしたらいいのか戸惑ったけども、先輩が「そういう時は念入りに手を洗えば大丈夫だよ」と親切に教えてくれたから、俺は、今、丁寧に先輩がくれた洗剤で手を洗っている。洗い終わったら、次は消毒するらしい。
結構、大がかりなんだな…と俺は手についた水滴をタオルで拭いていた時だった。
洗面所の鏡に映っている俺の後ろに先輩がいた。
俺は先輩の方を振り返ろうとしたが、振り返られなかった。
「そのままで聞いて」
なんて言いながら、優しく抱きしめられた。
このままじゃ、俺、先輩のお話まともに聞けない。
ドキドキして、壊れてしまいそうだ。
でも…
「はい」
と、俺は頷いてしまった。
「ヒロは…俺の家に居たくなかったの?」
切なそうに先輩は言う。
俺はゆっくりと確かに「居たいですよ」と囁いた。
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