「決めていたのにな…」

自分の部屋の扉を閉めた瞬間、俺は力なく、そこにヘタレこんだ。
俺の決意ってどれだけ弱いんだよって突っ込みを入れたい。
いや、俺は悪くない。だって、水城が抜け駆けするようなことをしたから。
それに、ちょっと近づいたヒロがあまりにも可愛くて、反射的に!

「でも下手したら危ないな、俺も」

落ち着けと、心の中で念じる。
きっともう意味なんてない呪文だ。

一度、知ってしまった君の温もりを思えば、
もう、俺は我慢できないかもしれない。
また君と話がしたいと、そばにいたいと、触れ合いたいと思ってしまう。

君のこと大切にできなくなるかもしれないのに。

ずっと頭の隅で考えていた計画を、俺は思いだし、忘れてしまいそうになる。

いつか、遠い未来の、俺が君のことを支えられる人間になったら、声をかけようだとか、告白しようだとか。ああ、もう、みんな、なかったことのように、忘れた。

俺は君のストーカーでよかったはずなのに。


*****

「ご飯よー」だなんて、間の抜けた声が聞こえて、俺は部屋を出る。
リビングに行くと、食事が並んでいた。
何不自由のない生活。俺は何かを頑張れていただろうか?




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