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『でね、その意味を探しすぎたら、現実をおろそかにしてしまうから、駄目だよ。答えは探して見つけるものじゃない。気が付いたら、胸の中にあるものなんだよ。なんて、お兄さん見ていたら言いたくなっちゃった』
ランドセルを背負った子どもの名札には【加賀美ヒロ】と汚い文字で書かれていた。それは、子どもの字だった。
『ヒロっていうんだ、名前』
『うん、いちおね』
『いちお?』
『…………』
もじもじとヒロは黙り込んで俺を見上げた。
『名前なんていらないと思っていたけど、呼ばれると嬉しいなって』
『親は呼んでくれないのかよ?』
『……まぁね』
そうだね、と悟りきった顔をしてヒロは笑った。
この時、俺は、思ったんだ。
君を幸せにしたいって。
『俺、存在理由見つけちゃったよ!』
でも、しばらく面と向かって君と会うことはないと思った。
俺がしっかりとした大人になるまでは。
君に触れられないと勝手に決めていたのだ。
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