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「水城、お前、もう下校時刻だ!」
俺と先輩の間にそう言って入ってきたのは、生徒会長の香山やすし先輩。よく、水城先輩と一緒にいる人。確か先輩と同じクラスだったっけ。
「!」
じっと俺が生徒会長を見つめすぎたせいかもしれない。彼は俺と目が合うと、少し飛び上がって目線を逸らした。逸らしたきり、俺の方を見ることはなかった。沈黙が何処か痛い。そう思っていた時、
「香山会長、下校時刻が過ぎていることくらいわかっている」
先輩は、淡々と言った。
生徒会長も淡々と「だったら、帰れよ」と答えた。
二人は仲がいいみたいだと、噂はある。
仲がいい、と言いきれないのは、これだ。
この二人は、よく一緒にいる。だけど、そこに笑顔がない。
いつも淡々とまるで、仲が悪いように話している。
まじかで俺はその噂の真意を体験し、知った。
知りたくなかった。
「ていうか、さ、お前どうしてこんなところにいるんだよ」
「どうしてだろうね」
「そいつとはどういう関係なんだよ」
生徒会長は相変わらず、俺の方を見ることなく言う。
先輩はすごく怖い顔をして、俺に帰る準備をせかして、俺を教室から引っ張り出した。生徒会長には一言も返事をすることはなかった。
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