首の痛みが取れたら、僕も朝ご飯を取ることにした。
「それにしても、からしサンドって誰が買うんだろう」
僕は上条くんが買ってきてくれたサンドイッチを手にとって微笑んだ。絶対に僕以外は買わなさそうだ。上条くんにもそんな話題を振ったら、上条くんは「俺も買いますよ?」なんて言う。そんなはずがない。
「上条くんは甘いものが好きなのに…?」
「でも、それ、買ったら、西野さん嬉しそうにしてたんで、また買ってきますよ?」
「え…」
「だから、俺が好きじゃなくても西野さんが好きなら、俺は買いますってば」
「ばば、ばかじゃないの!」
「照れ隠しが下手な西野さんを見ていると、いじりたくなるんで、ネタにもいいですし」
「……今、ネタって言った?」
「はい。西野さんとお話できるアイテムってことですよ」
「僕と話して楽しいことなんてないだろ」
「うわーそんなこと言われたら困りますよ。西野さん」
「じゃあ、僕に構わないでよ」
「もう構いはじめてしまったんで構いますよ。西野さん」
「え?」
それってどういう意味なんだろうって僕は首を傾げた。すると、上条くんは立ちあがる。
「だって、たまに西野さん。寂しそうだから、見ていたら、辛いんです」
「そう…ごめんね」
一気に夢から覚めたかのように僕はからしサンドを机に置くと、部屋を出ようとした。絶対に泣いてしまいそうだから、上条くんの傍から離れていこうとした。なのに、上条くんはそんな僕の手首を掴む。
「俺…西野さんに悪いこと言いました?」
「別に…」
ただ僕が勝手に上条くんは僕のこと心配してくれているんだって思っていたのに、実はたんに上条くんが落ち込んでいる僕を見ていたら辛いからって理由で、上条くんは僕に構ってくれていたんだってわかっただけで…何も上条くんは悪くない。けど、僕は…




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