「あ、俺、なんだかおなかが減るなって思っていたら、朝ご飯食べてくるの忘れていました。買ってきます」
「ああ、いってらっしゃい」
「はい。すぐに戻りますから…と、そうだ、西野さんもまだですよね。何か食べたいもの有りませんか。おごりますよ?」
「……えと、急に言われても」
「そうですね、適当にからしが入ってそうなの買ってきますね!」
では、と右手を上げて上条くんは走っていってしまった。
「からしってあの日…」
僕が好きだって言ったから覚えていてくれたのかな…なんて気が緩んでいくのが自分でもわかって、僕はそんなんじゃないって首を振った。

首を振りすぎて痛くなった。
僕ってこんなにも馬鹿だったっけ。

「ただいま帰りました!」
上条くんの声がして僕はそっちを向こうと頑張ったけども、さっき痛めた首のせいで動けない。すると上条くんが心配そうに駆けよってくる。
「首を痛めたんだ」と僕は質問される前に言った。すると上条くんは不思議そうに「どうして?」と呟く。そんなの、上条くんのせいだ。

「まあ、とりあえずは、あの、とりあえず、これ、からしサンドとか売っていたんで買ってきました。俺はハニーシロップたっぷりのトーストにしたんですよー」
「……ありがとう」
僕は聞こえそうにないくらい小さな声でお礼を口にした。なのに上条くんの馬鹿は「気にしないでください」なんて答えた。そこは聞こえないふりしてほしかった。

「あれ、西野さん、照れてます?」
「誰が!」




- 81 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -