そうだ夏コミで出す新作の構成はこんな感じでいこう。不安症の怒りん坊が、ある日街中でとっても素敵な人に出会うんだ。そこから、恋が始まるんだ。うん。いいよ。いつも陰から見ていたと言って、攻めは受けに言いよればいい。受けは人に言えないことを抱えて居てさ、だから、好きだって言葉を受けとめられずに攻めに冷たくするんだ。でも攻めは受けのこと…好きだから、本当に好きだから、嫌いになれずに好きで居続ける。どんなことがあっても攻めは受けに愛をそそいでさ。うん。そんな感じでずるずると日々を過ごして、ある日、受けの不安症と怒りん坊になる理由を知って、それを癒してやってくれたらいい。
「……って」
馬鹿らしくなって僕はペンを投げた。これじゃあ、まるで僕とあいつみたいじゃないか。なんだって、僕があんな奴のこと…

ぷるるうるるー

また今日も八時調度に家電がなった。彼は昨日あれほどぼろくそに言った僕にまだ用事があるのだろうか。それともセールスか何かだろうか。考えるのめんどい…
「はい、西野です」
「あ、西野さん。俺です。山田です」
「………」
やっぱり彼だ。ずっと毎日夜の八時に電話をしてくる、ピンク文庫の件でお世話になった、あの馬鹿野郎だ。
「あ、れ、西野さん、いつものあれはないんですか?」
「………」
「ほら、いつも俺が山田ですって言ったら『何の用だ。山田』って言うじゃないですか?」
聞こえてますかと山田は電話の向こうであたふたしているみたいだ。今まで俺は山田が電話をかけてくる度に真剣になりすぎていたのかもしれない。こうして何も言わない方が山田にはこたえるんだろうな。馬鹿らしい。
「西野さんっもしかして、具合が悪いんですか?」
「え…?」




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