12




「あ、西野。話は変わるんだけど…いいかな?」
「う? 何でも聞いてあげるよ」
「あのね、俺、高良のこと恋愛感情で好きだってことは自覚したけども、今のままでいようと思うから、あまりちゃかしたり、しないでね?」
西野はおもしろがって俺で遊びそうなので初めに言っておくことにした。するとそれを聞いた西野は「わかった」と言った後に「何かあったの?」と歩みを止める。
俺は一人で何かを抱えるのが苦手だから、つい…言ってしまった。昨日のこと…
「確かに…僕は竜北視点でしか考えてなかったから気がつかなかったけど…そりゃあ、急に距離を取ろうとされたら、嫌われたような気持ちにもなるかな」
「うん…だから、俺、今までどおりでいいと思った」
「でもそれって竜北には辛いよ…」
まるで自分のことのように西野は辛そうに言う。
「だって好きな人がすぐそこにいるのに、何もできないでいるんだよ。いつか、誰かに持って行かれちゃうんだよ…そんなの…って」
「そうかもしれないね…」
俺は真剣に答えた。自分の中で昨日から考えていたことを全て西野に説明できないけども、もっとも簡単な俺の意思は決まっている。

「だけど、これが俺の選んだ道なんだ」

高良への恋心にうっすらと気がついていた時、俺は確かに泣いた。でも、それは自分が高良に恋をしているっていうのが怖くて泣いたんじゃない。嬉しくて泣いたんだ。きっと。今にならないとわからなかっただろうけども。俺にとってそれだけ高良は特別ってこと。

そう、誰もが崩れそうな結晶の中で生きていると思っていた。いつも誰かは俺を傷つけるだけだと思っていた。それでもいいと今は思う。高良といる今日が明日はこなくて、高良が俺を傷つけるだけだとしても、俺は高良を大切に思う。そこになんの変りも芽生えない。だから、これでいいんだ。これでよかったんだ。
「愛しすぎてんのかもしれないね?」





第六話 完結



第七話へ→




- 73 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -