高良は震えながら、俺に嫌われるんじゃないかって不安なんだと言った。理由を聞いたら、最近俺の高良に対しての態度が変わったらしい。なんか距離を作っているように感じるらしい。ま、実際、俺が変な意識を持ってしまうから、高良にふいに襲いかからないように距離を取っているだけなんだけども…。それが高良をこんなに不安にしていたんだと思うと俺は自分を殴ってやりたくなる。自分のことばかりで高良のこと、何も考えていなかったのかもしれない。
「ごめんね」
不安にさせるつもりはなかったんだよと俺は高良の頭をなでる。
「ただ、高良に俺、べたべたしすぎているって気がついたから、控えようとしただけなんだ。嫌いになったわけじゃないよ?」
「…ごめんなさい」
変なこと言って、と、高良は泣き出してしまった。そういえば…いつか、高良は言っていた。『現状にいつも満足しちゃう病気みたいなものなんです。俺、あまり何かを望むことってないんですよ。失われなければいいとかそれくらいで』淡泊だとよく言われますねと恥ずかしそうに高良は笑っていた。
でもそれって、現状に満足するっていう病気って、ただ現状が壊れないことを強く願っているせいじゃないだろうか。何かをそれ以上を望まないのは、今あるものが失われなければいいと強く願っているからじゃないだろうか。だとしたら、俺は…

「馬鹿だな。俺は高良が大好きだから、離れていかないよ。これからもこんな俺だけど仲良くしてほしいな」
「……っ」
「ほら、俺は嫌ってないんだよ。高良が大好きだから、べたべたしすぎて俺が高良に嫌がられるんじゃないかなって思って、今まで通りを壊したくなくて、誤解させてしまったね」
「竜北さん…」
「ほら、泣くな。泣いてもいいけど、家に帰ってからにしよう。高良は可愛いから、目立つぞ?」
冗談めかして俺はそう言って、高良のことチラチラ見ている連中をそっと睨んだ。




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