「竜北さん?」
俺は高良のことが恋愛感情として好きだよって言おうとして言えなかった。不安そうな高良の目を見ていると、俺は「一緒に帰ろうか」と話題を逸らしてしまった。高良はしばらくそんな俺に固まっていたけど、すぐに「はい」と頷いて帰る準備を始めた。

俺はとんでもない臆病者だ。

「星が見えないですね」
高良は夜道を歩きながら、呟いた。そして「流れ星にお願いしたかったのにな…」と独り言を口にする。全く俺の方を気にしてないみたいだから、きっと言葉に出していると本人は気がついていないんだろうけど。
「何をお願いするの?」
つい、高良が流れ星にお願いしたいことがあるとしたらなんなのか気になって聞いてしまった。すると高良は顔を赤くして「あれ、声に出してました?」と言う。俺は「出てたよ」と笑った。
「……あの、もしも俺が、お願いごと教えたら、竜北さんは協力してくれますか?」
ちょっとうるんだ瞳で俺を高良は見つめる。やばいよ、その顔。
「あ、もちろんさ!」
ぐらぐらと揺れる理性で俺は高良に触れたい気持ちを我慢した。
「本当ですか?」
「え?」
「あ、ごめんなさい。俺、竜北さんを困らせたいわけじゃなかったんです。ただ不安で」
「高良…?」
辛そうに顔を伏せた高良に俺は足をとめた。

「嫌われませんようにって」

「?」
「俺が、竜北さんに嫌われませんようにってお願いしたかったんです」




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