それから、しばらく俺と西野はだらだらと言葉のキャッチボールをしていた。結論を言うと、西野曰く否定して壊れたら大変だから自分の気持ちを受け入れなさいってこと。
でも、正直に高良のこと、そんな風に好きだとしたら、俺はもう高良の家にのこのこと遊びに行くのはいけないことかもしれない。
『竜北さんが俺に何かするわけがないじゃないですか?』
無邪気に君はそう言ってくれたけど、俺はずっと前から、心の底では意識していたんだ。ごめんね。高良。きっと俺は君の信頼を裏切っている。



*****


「竜北さん…?」
「え!」
心配そうに高良が俺の顔を覗きこんできて、俺は驚いて後ろに跳ね上がってしまった。
「……あの、仕事終わりましたよ?」
考え事ですか…と高良は俺を見つめる。俺は、視線を逸らしながら「ちょっとな」と答えた。ああ、素直に言えるわけもないだろう。高良のことを恋愛感情として好きだったと自身で認めたら、ホッとした半面、君に触れたくて仕方なくなっているんだから。
「って、え、あれ、今何時?」
「7時です」
「えーっ!」
俺は何をしていたんだろ。西野も上条も先に帰ったのか。俺に一言くらい言葉をかけてくれてもいいじゃないの。高良は…声をかけて心配してくれているのに。
「ごめんね。もしかして、俺のこと待っててくれたの?」
仕事が終わって30分も…ここに意識がなかった俺の近くで高良は何を思ってそこに居てくれたんだろう。知りたくて…だけど…そこまでは聞けなかった俺に、高良は「一緒に帰りたいと思って…」と小さくほほ笑む。可愛すぎる。




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