「それは俺のセリフだ。俺こそ、ありがとう。西野に出会えて、こうして仲良くなれて幸せ」
「…そういうこと、直球に言うな、恥ずかしいだろ!」
「だって伝えたかったんだもん。言わないとわからないじゃん」
「……む、そうだけど」
だんだんと顔を赤らめ、それを誰かに見られるのは嫌なのか西野は可愛い熊さんの人形に隠れてしまった。
「でも竜北。僕も東くんのこと好きだからね」

「え?」

ゾクッとした。さっきまであんなにも嬉しかったのが嘘のように、俺の中で何かが暴れて感情を持って行ってしまって俺は空っぽのようだ。
「あははっ」
西野は急に楽しそうに笑った。俺は状況の変化についていけなかった。
「何、竜北、本気じゃん。今、焦っただろ」
「西野…俺を、からかったのか!」
「からかったんじゃないよ。確かめたの。竜北の好きは、どういう好きなのかなって」
「……?」
「だから、竜北が東くんを特別に想うその好きは何処から来ているのかなって」
真剣な顔をして西野は俺の方を向いた。
「いつまでも否定しても、身体も心も騙せないって。感情と思考は別物だからね」
「やっぱり、俺の好きってそういう、好きなのかな…?」
ずっと愛おしく思っていても、俺が高良を好きだと感じるのはただ単に大切なだけだと思っていたけども…やっぱり…恋愛感情なんだ…
「独占欲だけなら、恋愛じゃない可能性もあるけど…さっきの僕の言葉への竜北の反応はもう、恋する乙女じゃん!」
「ちょ、西野、何笑ってんだよ」
「だって、今笑わないとしんみりして終わってしまうよ、この会話」




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