４
「西野は、そういうの、気持ち悪いんじゃなかったの？」
よく、自分に好意を寄せてくる男を気持ち悪いって、毛嫌いしているじゃん。
「ちょっと竜北、何処で勘違いをしているのかしらないけど、僕は同性愛者を気持ち悪いなんて思ったことないよ！」
「じゃあ、俺のこと気持ち悪いって思わない？」
「思うわけがないじゃん。僕が大嫌いなのは、僕に何かを要求しようとする愚か者だけだよ」
「……俺、ずっとばれたら、西野に、嫌われるんじゃないかって思ってた…」
いつも西野といたら、思っていた。恐れていた。俺が同性愛者だってばれてもばれなくても西野には受け入れてもらえないと。
「な、泣かないでよっ」
「だって、西野ぉ」
「友達だろ。僕たち……だから、僕は竜北を大切に思っている。軽く見たら、怒るよ」
「俺も西野のこと大切に思ってるし、大好きだよ！」
「わ、竜北、鼻水付くから抱きつかないで」
「友達だろぉ」
「それとこれとは別！」
「西野が冷たい…」
「もとからでしょ？」
「…あっははは…そう言えば、初めてここで会った時、最高にツンだったな」
「竜北なんて瞳をウルウルさせたチワワみたいで、僕は辛かったよ」
「なら、さっさと、デレてくれてもよかったんじゃないの？」
「…時間って必要でしょ？ いろいろあって人間不信だったんだから」
西野は俺を信頼するのに時間がかかったとか冗談めかして笑った。でも、瞳の奥はとても冷え切っていて悲しそうだ、俺は心配になって突っ込んだことを聞こうとして、やめた。西野は深く追求されたり、詮索されたりするのを嫌っているから。
「ありがとうね、竜北」
「え？」
「そうやって僕のこと理解してくれて…」
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