…………などと高良の家に初めてお泊りしたこと、その夜に見た昔の走馬灯のような夢を思い出して、俺は溜息をついた午後三時、高良が仲良く上条に連れられてコンビニに行ったことを不満に思う。なんだろうな、これ。

「あんにゅいな竜北たん。僕がお悩みを聞いてやってもいいクマよ?」
ふと顔を上げると西野が可愛い熊さんの人形を俺に向かって動かしている。まさか、西野。俺がそんな馬鹿に見えるのか。いくらなんでも俺が熊のぬいぐるみが言葉を話すなんて信じない。
「竜北たん…」
西野にやめろと言いかけて俺は自分の口を閉じた。熊さん人形の向こうで西野が騙されてくれないのって必死な顔で涙をこらえていたからだ。ま、いいか。
「熊さん。俺ね、最近、悩んでいるんだ?」
「何なに? 僕が聞いてあげるクマよ?」
西野、嬉しそうだな。
「青少年的なお悩みかい?」
「なっ」
「むらむらしてるのかい?」
「熊さん、そんなこと…」
「ないの? 最近、東くんのこと見る目に熱こもりすぎだよ?」
急に熊さんを横にどけて、ひょっこりと西野は言った。
「恋しているんだと思ってたけど、違った?」
「に、西野、それは西野の勘違いだろ!」
「そう?」
「そうだって、俺も高良も男だよ?」
「うん、知っている」
「ならなんでそう思うんだよ?」
「竜北、男の子好きじゃなかった?」
「え…?」
俺は西野が同性愛者をいつも気持ち悪いというから、隠していたつもりだったのに…




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