「竜北さん、遅刻しますよ!」
「……えとぉ」
心配そうに俺の顔を覗きこむ、高良の顔に俺はぼんやりと目を覚ました。
「あれ、なんで俺、ここに居るんだろう。あ、そうか、昨日、泊めてもらったんだった」
そうそう、母が恋人を家に呼びたいから、お友達の家に泊ってきて。とか電話で言われて、ちょうど仲良くなった高良が俺なんかを家に誘ってくれたんだ。それで。
「おはよう、高良」
「おはようございます」
高良は淡々と挨拶を返す。初めは嫌われているのかなって思っていたけども、もうその挨拶の時に低音になるのは高良の癖のようなものなんだろうなって気がついた。

「よかったら、朝ご飯ありますから」
洗面所で顔を洗っている俺に後ろから高良がぼそっと呟いた。どうやら照れているみたいだった。それがすごく可愛いと俺は迂闊にもときめいてしまった。
「ありがとう、じゃあ、いただくね」
俺は机の前に座るとサンドイッチに手を伸ばした。やっぱり高良の料理っておいしい。きっといいお嫁さんになるだろうな…って俺は何を考えているんだろう。高良は男の子じゃないか!
「…あの、美味しくないですか?」
俺が一人でバタバタしていたせいか、高良は不安そうに聞いてくる。
「そんなことないよ、昨日はじめて食べさせてもらった、野菜のどんぶりに負けないくらいとっても美味しいよ?」
「よかったです…」
ホッとしたかのように、高良は小さく笑った。
「竜北さんが昨日、美味しいって言ってくれたの嬉しかったから…また作ってみたんで」


可愛すぎて、動悸がした。




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