竜北さんは簡単に『理解しあえる』と言っていたけども、俺が本当は自己中だとしってしまったら、きっと竜北さんも西野さんも俺のこと嫌いになってしまうだろう。

俺はいつも思っている。
人づきあいにおいては、最低限の距離が必要であって、あまり相手のことを理解しよう、または理解されたいと望まない方がいい。

欲求は叶わない時、恐ろしいまでに、ストレスになる。

「やっぱり東くんは、僕みたいなの、嫌いかな…?」
西野さんは悲しそうに眉を寄せて言った。俺はそんなことないですって力いっぱい首を振る。どうしてだろう、俺。必死になるなんてらしくない。
「ま、いろいろと東は、ここの部署に飛ばされてきたばかりだし、思うことや悩むこと多くて今はそんなこと考えられないかもしれないけども、仲良くやっていこうよ?」
せっかくこうして同じ部署になったんだし、と竜北さんはほほ笑んだ。
なんて優しい人なんだろう。
いつも日記を読ませてもらっている彼のようだ。
……そうか同一人物だったんだって、ことは、えーっ!

「あの、竜北さん、サイトの日記、毎日読ませてもらってます…」
俺は恥ずかしい気持ちを抑えて、告白した。以前、彼は日記で、二人だけの部署にもう一人新しく後輩が入って来たんだけど、どんな話題を振ったらいいのかわからないとか、最近の若者の趣味を研究してみるものの、何もわからなかったとか、そんなことを書いていたから…
「お気づかいしてくださっていたみたいで、ありがとうございますっ」
「や、やだ、東くん、あれ、読んでたの。恥ずかしいな…でもそれなら話は早いね。俺、ずっと、仲良くなるきっかけ探していたんだ。よかったらこれからは同じ趣味だし、BL話ふってもいいかな?」
「は、はいっ」




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