「俺、高良が俺たちと居たいと思ってくれているなら、高良が迷惑になるからってそんなことで離れていくの嫌だよ。きっと、竜北さんも西野さんも同じ気持ちだと思うけど、俺は、高良がどうしてもお父さんのところに行きたいって言うなら、自分は一緒に居てほしいけど、我慢できるよ。でも、高良が行きたくないのに、行くなんて我慢できないよ。俺は高良には、高良の意思を尊重してやりたい」
自分でもわかっている。ぼろぼろの言葉だって。でもこんな言葉でも俺は伝えずにいられなかった。だって、声に出さないと、君には伝わらない。
「高良が迷惑かけたくないって言うことが迷惑だ!」
本当は、俺、ずっと高良に頼られてみたかった。でも、そんなことは言えないから、口調が喧嘩ごしになってしまって。切ない。

「ああ、全くだよ?」
竜北さんは呆れた顔をしてほほ笑んだ。
「高良がいないと俺が寂しいじゃんか」
「竜北さん…」
高良は小さくほほ笑む。
「そうだよ、東くん。東くんが居たいと思ってくれているなら、いて。僕も東くんいないと寂しいな。うん、寂しくて、上条くんいじめちゃうよ?」
「え、西野さん、それは言葉の文ですよね?」
俺は力いっぱいそう聞いたら「てめぇは黙ってろ」と言われた。こわい…

「本当に、居てもいいですか? 父はきっと嫌がらせとかしてくるかもしれません。俺の我がまま…」
ああ、ごめん、西野さん。俺、黙れないよ。
「高良、上条ミナミは自分が残って俺たちに迷惑かけるのが嫌だと思っているのに、それでも離れていきたくないと言ってくれたことがとても嬉しくて泣きそうです」
「ちょっと、上条、抜け駆け! あの、竜北広文も同じです」
「使い回しの言葉嫌いだけど、僕、西野ヨウも同意見だよ?」




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