そんなこんなでついた高良の家は、綺麗な二階建てのアパートの一室だった。
「あ、鍵開いている」
ドアノブを掴んで高良はさも当たり前かのように言う。俺は、焦った。ちゃんと鍵はかけてくれって頼みかけた。でも、高良がそのドアを開けた瞬間、中から、竜北さんがまるで犬のように飛び出てきて、高良に抱きついた。

「あの、竜北さん、ちょっと話したいことがあって、上条くん連れてきたんですが」
「え、あれ、ああ、上条か。俺はどっかに消えた方がいいかな?」
面白くないって顔をして竜北さんは高良から手を放す。高良は何の悪気もなく「あ、上条くん、竜北さんいてもいいかな?」なんて俺に聞いてくる。
そりゃあ、二人っきりだと嬉しいけど…竜北さんがいないほうがいいとか言えるわけもない。

それから、話題が仕事のことだとわかると竜北さんは西野さんも呼ぶなって言ってすぐに高良の家に全員集合した。

「ずっと黙っていたんですが、隠していたわけじゃないんですが…その、俺の父は社長で、俺に、自分の仕事を手伝いに来いって言っていて…」
高良はおどおどと話し続ける。
「断っているんですが、それで、そのせいで、機嫌悪くて…。じゃなくて、あの、なんて言えばいいんでしょう…わからな、くて」
「「「!」」」
ぽろぽろと高良は泣き出してしまった。
俺たち三人はそれにあたふたしながらも何も言えなかった。

あまりにも、高良が傷ついていたからだろう。

どんな言葉も軽くなってしまいそうで、怖かったんだと思う。




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