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「わかっているよ」
高良は何も間違ったことは言っていないし、俺を傷つけようなんてしているわけでもない。そんなことはちゃんとわかっている。でも頭ではわかっていても、俺の心が納得してくれない。

「高良、本当はね、俺ね、高良が俺以外の誰かと仲良くしてたら、嫉妬しちゃうの。不安になるの」
「え?」
「ごめん、言わないはずだったんだけど…」
「そんな」
気にしないでくださいって高良は言いながら両手をわたわたと振った。

「俺こそ、気がつかなくて…」
「え、高良はそんなこと気にしないでいいって!」
なんで俺が勝手に嫉妬して、勝手に傷ついていただけだろ。
なんで君がそんな悲しそうに謝るんだよ。
なんで…っ

「いえ、俺、自分でもわかっているくらい淡泊でしょ?」
あまり感情を表すのが得意じゃないんですよ、と高良は言う。そりゃあ、人に比べたらそうかもしれないけど、君は誰よりも優しくて、誰よりも感情豊かだと俺は思う。
「不安にさせて、ごめんなさい。俺、何があっても竜北さんから離れてなんていかないですから、安心してください」
「高良…」
俺の手をそっと包み込んで、高良は頭を下げた。

俺は自分の情けなさに本気で泣いてしまった。
でも高良には「すごく大きい埃がいきなり両目に入ったんだ」と言って誤魔化しておいた。




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