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「なあ、高良、誰かに認めてもらうって、どうしてこんなにも難しいのかな?」
俺の家で、原稿を広げたまま、竜北さんはぽつりとつぶやいた。俺はその後ろ姿の寂しさに、何も言い返せなかった。
「あ、ごめん、そんな深く考えなくていいよ!」
困らせてごめんねと、竜北さんは笑った。ちょっと疲れているような…

「…無理だって決めつけていたけども、やっぱり、認めてもらいたいんだ、俺。そりゃあ、簡単じゃないってわかってるし、傷つくことばかりだとも知っているし、でもそれでもやらないといけないんだ。だって、認めてもらいたいんだもん」
「でも…無理は…」
俺は竜北さんがいつも笑っていても、前向きなことを言っていても、何処かで不安なんだと言っているように見えるから、心配になった。強がってもいつも…

「高良、俺は、いつだって不安だし、怖がりだよ?」
「知ってますよ?」
「だから、本当、いつも不安だし怖がっているって、何をしてもしなくても」
「…竜北さん?」
「だったら、さ、どっちにしても俺はこんなにも弱いなら、さ、立ち向かってみようかなって思ったんだ」
「あの、俺にできること…」
「じゃあ、傍にいて、ほしいかな。うん、俺、高良といると、頑張ろうって気持ちになれるんだ。もしも失敗しても高良なら、頑張ったねって言ってくれそ…」
そこまで言って竜北さんは「いや、違うんだ」と言った。

「何が、違うんですか?」
俺は少し意地悪に聞き返した。すると、竜北さんは顔を真っ赤にして「俺は高良の企画書を皆にも見てほしいと言いたかったのに、話がずれたんだよ」と言う。

どうしよう、俺、泣いてしまいそうだ。





第ニ話 完結



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