14
頑張って自分の気持ちを言葉にしたのに、竜北さんから返事がなかった。
不安に思って俺はどうにかさっきの言葉を誤魔化さないといけないと思って、顔を上げたら、竜北さんはただ静かに泣いていた。
俺、泣かせるつもりなかったのに…
「高良」
「は、はい」
「抱きしめてもいいかな?」
「え、はい」
いつも確認なんてとらないのに、どうして今日は聞いたのだろう。
そう思っていたら、抱きしめる俺の気持ちが違うんだよ、と竜北さんは言った。
俺にその意味がわからなかったけど、すぐにわかった。
俺も泣いてしまった。
*****
その日、たくさんキスをした。
今はそれだけで充分だよって竜北さんは言ってくれたけど、俺の身体はもそもそしている。それは竜北さんだって同じだって、見たらわかる。
本当はこういうの、恥ずかしいからしたくないけど、俺は竜北さんに抱きつくと、耳元で、ダイテと言った。
誰かにそんなことを言うのははじめてで上手く言えたかなんてわからないけど、俺の言葉で竜北さんが微笑んでくれたのが嬉しかった。
愛してくれて幸せ。
愛することができて幸せ。
リアルはとても辛いけど、
二次元の物語には登場しない
温もりが
俺のココロを掴んで放そうとしない。
俺、この世界に生まれてきてよかった。
(あ、竜北さん、コンドームならここにあります)
(なんで…、しかも三つ?)
(父さんが前くれたんですよ)
(じゃあ、今日は三回できるね?)
(…え?)
『俺は三次元で生きている!』終わり。
次ページはあとがきです。
- 134 -
[*前] | [次#]
目次に戻る→
以下はナノ様の広告になります。