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それから、しばらくして、休日、俺は趣味の料理をしている自分を思い描きながら、うとうとと眠っていた。
「…あれ?」
うっすらと瞳を開けたら、どうしてかそこには竜北さんがいた。
え、なんで一緒のベットで眠っているのだろう。しかも、竜北さん、服着てないし…ま、いいや。だからって、どういうわけでもないし、もう少し眠ろう。
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「な、高良?」
「うん、もう、ちょっと茹でないと、ニンジン硬いよぉ」
「どんな夢だよ、それ」
「……え?」
俺は瞬きを繰り返した。状況がつかめない。
「おはよう」
竜北さんは無邪気にそう言ったから、俺も「おはようございます」と返事を返した。
「ね、高良、無防備すぎるよ?」
まだちゃんと動いていない俺の頭の横で竜北さんは、腰にくるような声で囁く。
「俺がもし変な気をおこしてたら、今ごろ…」
「竜北さん、誰でもいいわけじゃないでしょ?」
「参った」
高良はときどき鋭いことを言うなって笑うと、竜北さんはそのへんに散らかしている自分の服を拾い、着用した。
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