慌てて手を引っ込めようとしたら、その手を竜北さんに握られて、俺はそのまま身体ごと竜北さんの方へと引き寄せられた。

顔が…近い。
今までだって、さんざんスキンシップはされていたけど、ここまではされたことがない。
あまりにもドキドキして、俺は目をつぶった。

すると唇に何か柔らかいものが触れて、瞳を開くと、すぐそこに竜北さんの顔がある。
キス、されていた。

ピピピピピィ――っ

俺の携帯電話のメール着信音が部屋に鳴り響いた。
「!」
自分自身驚いているような顔をして、竜北さんは俺から唇を放す。
そして、とても居心地が悪そうに俺を見つめる。
俺はただ「人肌が恋しかったんですよね?」と言った。だって、竜北さんは寂しそうな顔をした時、かなりの確率で俺のこと抱きしめるから。
「高良…その…」
申し訳なさそうに竜北さんは言葉を紡ぐ。別にファーストキスにこだわりがあるわけでもない俺は「大丈夫ですよ。俺、竜北さんなら気にしませんよ?」と笑った。
「……俺っ」
好きなんだと竜北さんは言った。俺は何が好きなのか理解できなかった。
「キス…するのが、好きなんですか?」
他に思い当たることがなくて、真面目に質問したら、竜北さんは大笑いをした。
いつもの、竜北さんだ。
俺もホッとして笑いだした。

よかった。よかった、のかな…?




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