=高良side=

竜北さんがお見合いをすると平然と口にした。
俺は胸に何かが刺さったかのような不安を感じた。だけど、竜北さんにそんなこと言えないし悟られるわけにもいかないから、俺は平常心を装った。

いつまでもこうして一緒にいられるわけじゃないと、思っていたけど、それがこんなにも早くかたちになろうとしているのかな…。
ずっとわかっていたのに閉じ込めていた感情が『お見合い』の一言で溢れかえった。
恋人ができても俺とこうして会ってくれますか、なんて聞いたら重たいかな…とか、いろいろと考えて、ふと思った。
お見合いって、女の人が相手になるんじゃないだろうか。
だったら、竜北さんは女の人を愛せないから心配はいらない。

…あれ、心配はいらないって、なんで、俺ってそんなにも自分本位なのっ

ひどすぎる、俺。こんなこと考えるなんて最低だ。
竜北さんのこと好きなんだから、ちゃんと応援しないと。
俺は自分の醜い感情に首を振ると、竜北さんの隣に座った。
きっと母親から勧められて断れずにいるんだ。なら、俺が無理しなくていいって言ってあげたら、竜北さんだって、断りやすくなるだろう。そう思って言葉を紡いだ。
すると、竜北さんは俺の予想とは反してお見合いに行くと言った。
俺は女の人相手じゃないのって聞いたら、それでも行かないとって、竜北さんは言った。

もしかして、竜北さん、女の人、愛せるようになったのかな?
それとも、これからそうなるように、頑張るってことなのかな?

頑張ってきてくださいね、と本当は言いたかった。
なのに、俺はすごく凹んでしまった。
『行かないで』なんて言いたいと思ったのはどうしてなんだろう。
いくら仲良しだからって、俺が竜北さんの未来をどうこう言っていいわけないのに。




- 123 -


[*前] | [次#]
目次に戻る→


以下はナノ様の広告になります。
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -