「お見合いすることになったんですか?」
母との電話を終えてすぐに俺はどうしてか高良に会いたくなって家を飛び出た。
そして、高良の家についてホッと一息つくと俺は何事もなかったかのように、お見合いすることになったと伝えた。高良はあまり関心なさそうにホットミルクを作ってくれた。
……別に、高良に『お見合いなんてしないでください』と言ってほしかったわけじゃないのに、俺は高良の態度があまり変動しないことに落ち込んだ。
「…竜北さん?」
「え?」
名前を呼ばれた顔を上げたら、驚くくらい俺の近くに高良が座っている。
「お見合い、行きたくないんですか?」
嫌だったら、無理しなくていいと思いますよ、と高良は優しい言葉をくれた。
俺、もしかしたら、そうやって高良に『無理しなくてもいい』と言ってほしくてここに来たのかもしれない。だとしたら、俺は最低だ。

君の優しさに甘えたらいけない。

「大丈夫。ありがとう、高良、心配してくれて」
俺は手を伸ばして高良の頭をなでる。
「俺も、もう、いい大人なんだし、そろそろ、ちゃんとしていかないといけないな」
「ですが、竜北さん…。お見合いって、女の人じゃ…」
「そうだけど、やっぱりちゃんと行けないと…。俺」
「そうですか…」
俺が女の人を愛せないって知っている高良は、辛そうに瞳を伏せた。
そんなにも俺のことで心配してくれなくてもいいのに。
「なんとか…してくるし」
「……はい」
「ごめんね、心配させて。でも、高良に話したら、なんだか頑張れそうな気がしたよ」
「…そうですか?」
「そうだよ!」




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