「西野に告ぐ」
西野さんが持ってきてくれた差し入れに目もくれず、俺たちは西野さんを囲った。
「これをただのエロ本だと俺は言わせない」
「俺も同意見です!」
「だいたいなんだ、これ。カズがカッコよすぎるではないか、ミヨが可愛すぎるではないか! しかも、脇役の先生とか先輩とか後輩とか、良い奴…過ぎ、なんでこんなっ」
竜北さんはまた泣き出してしまった。それを西野さんが不安そうに見つめる。
「やっぱり変かな。中途半端?」
「西野、このちょっと残る感じがいいんだよ! 何もかもうかも上手く終わらない所が余計に切なくて、でもちゃんと希望をみんなつかんだじゃんか…っもう本当、五回読んでもまた読みたくなる」
「ごごっご、五回も、読んだの!」
「俺は七回読みましたよ?」
「ちょっと、二人とも、時間もったいないって!」
「「こんな素敵な作品を放置するなんてそれこそ、時間がもったいない!」」
それに読めば読むほどにいろんなものが見えてくるから楽しいんだと俺たちは笑った。きっと涙でくちゃぐちゃの顔だから、西野さんは目をそらしてしまったんだろうけど。

「にしても、西野、さらにファンになりました」
「俺もです」
俺と竜北さんは西野さんの手をそれぞれと握った。

「でも、僕…っ」

「西野?」
「西野さん?」
急に西野さんは泣き出してしまった。何かよくないことを言ってしまったのかもしれない。西野さんはとても繊細な人なのに…




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