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格好悪く、俺はぼろぼろと泣きじゃくりながら、西野さんを抱きしめた。
正直、どうしたらいいのか、わからなかった。
だけど、俺はもしかしたら西野さんを傷つけるかもって思いながらも、言葉を紡ぐ。
「いつか、それ、俺に話してください」
「え?」
「話すのは辛いかもしれませんが、一人で抱え込むよりは楽になるかもしれません。俺、いつも、一人で閉鎖していて、でも、閉鎖していても、俺の心は晴れませんでした。だからって、いうのもおかしいのかもしれませんし、あの、どういったらいいのか…」
「……好きだって言ってくれたらいいよ」
俺が言葉に困ると西野さんはそう言って、俺の方へと寝返りをうった。
「ありがとう、真剣になってくれて」
西野さんはそう言って俺に触れるだけのキスをして安らかに瞳を閉じた。
「いつか、話してもいいのかな…。上条くん、負担にならないかな。汚い話になるよ?」
「西野さんのことなら受け止めます。今はまだ未熟ですが、いつか必ず」
「うん、ありがとう」
西野さんが、昔のことを話してくるのはもう少し先になりそうだけど、俺はそれまでにはもっと余裕のある男になれるように頑張ろうと思った。
たとえどんな話が出ても、うろたえないような精神を培わないとなって。

「西野さん、好きです」
「…好きだとか簡単に言うな」
「でも可愛いじゃなくて、好きだって言ってほしいと…すみません!」
「え?」
「西野さん、愛してますよ」
「な、な…っ」
「……嫌でした。俺がこんなこと言うの…は…」
「そうじゃない、そうじゃなくて…」
ただ、恥ずかしいと西野さんは言った。
なんだか、急に俺も恥ずかしくなって、二人して笑った。




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